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2021/10/17[院長コラム]MINAMATA 今改めて 水俣病を考える。

こんにちは 10月に入っても30度近くの日があり暑さ寒さも彼岸までという言葉さえ過去のものになるのでしょうか。しかし週明け(10月後半に入り)には一気に季節が進むそうです。また、原因はよく分からないまでも新規コロナ観戦の患者数はここのところ低い値が続き、冬を迎えて第六波が心配されるものの各地では少しずつ規制や警戒が解かれつつあります。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

私は1958年、昭和33年に生まれました。東京タワーと同い年です。ちょうど池田内閣が所得倍増を掲げ「戦後は終わった。」と宣言したのが1970年ですので戦後経済成長の只中を生きてきたと言えます。その世の中の一方で、九州の果て豊饒の海と言われた不知火海が水俣病により苦海浄土(石牟田礼子著)と化していたのです。原因はチッソ水俣工場の排水中の有機水銀でした。当初は奇病あつかされたり、さらには原因が判明したのちも隠蔽が続き公式謝罪や公害病の認定が遅れたり様々に社会問題化しました。まさしく「公害」という言葉が生まれた源であり今でいう環境省(当時環境庁)が発足したきっかけの大きな一つでした。何故かわからないのですが、幼い頃体が弱かったせいでしょうか私は若い頃から同時代的なこの問題にとても思いを引かれ事あるごとに水俣フォーラムなどの企画を体験してきました。

 

そして今年10月に待ちに待った映画『MINAMATA』が公開されています。水俣の問題を世界に広めた高名な写真家ユージン・スミスをあのJOHNNY DEPP が主演しています。それに伴って東京ではその時代にやはり水俣を取材した日本人写真家である桑原氏や石川氏の写真展も小規模ながら開かれ、朝日新聞の全国版社会欄でユージン・スミスの元妻としてともに水俣の問題に取り組み続けているアイリーン・美緒子・スミスさんのインタビューが大きく取り上げられました。

 

 

 

水俣病は過去の問題ではなく、まだ終わっていません。いまだに水俣病の公害病認定から漏れた人々が多く存在し、同様の症状が不知火海での魚をそれほど多く食していない山間部の人たちにも認められたり、胎児性水俣病の方を含む多くの患者さんが世間の目を逃れる様に天草などを含む不知火海周辺の地域にひっそりと生活している現実を私たちは忘れてはいけないと思うのです。そして、時を経て場所を変え私たちは同じ過ちを繰り返しています。3.11 福島原発事故。これは決して事故ではありません事件というべきでしょう。確かに水俣病とは異なり「公害病」が発症しているわけではありません。しかし地域の子供達の甲状腺癌の発症率の問題を横に置いたにせよその根本的な問題の構造は同じではないでしょうか?3.11福島原発事件の原因は予測不可能な想定外の地震と津波が原因と言われますが、利益誘導、資本主義の中での安全神話、地元と産業界の癒着と還元、効率と利益優先での安全性の先送り、そして今も続く病巣の垂れ流しその先の反省と考察なき国と労働組織の有様。

 

私を含め多くの日本人が戦後アメリカ型資本主義をかがげ不平等な日米安全保障条約核の傘の下、沖縄の基地化、軽武装・経済重視の恩恵を受け今までの繁栄を享受して来ましたが、その陰で水俣病をはじめとした多くの公害や矛盾、歪み、の存在を見て見ないふりをしやり過ごして来ました。マイノリティーの存在がクローズアップされ多様性の重視が言われる様になって来ました。コロナ禍の中で社会的弱者がますます置き去りにされていくことが注目され、近々衆議院選挙が行われようとしています。私たちは「MINAMATA」を忘れてはいけません。

「MINAMATA」の問題、3,11福島原発事件は他ならぬ私たちが作ったのです。

私たちは他人事でなく、自らの責任を引き受ける覚悟の上で新たな世の中を作っていこうではありませんか。