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歯科医療って何?  その5.現状を憂う、その原因と責任は

院長コラム「知られざる歯科の日常」

歯科医療って何?  その5.現状を憂う、その原因と責任は

2012年11月25日

こんにちは

あ〜あ、今年の年末は大忙しです。
私の所属する大きな勉強会(ちっちゃい方は前回ご紹介しましたよね。)「筒井塾」の咬合療法研究会とJACDが統合して「日本抱括歯科臨床学会」が誕生します。私の居る関東支部が今回の設立総会を切り盛りしているため、準備万端大忙しなのです。そして、なんと同日に衆議員選挙だそうです。

年賀状も刷らねばならないし、クリスマス電飾もしなけりゃいけないし、来年の百合の球根も植えなけりゃいけないし、忘年会もあるし、スタッフのボーナスを稼がねばならないし(苦笑)と言う訳で、ございます。あげくのはてに、プライベート的には娘の受験(私が受ける訳じゃないけど、何となく気ぜわしいですね。)、肺炎で入院が長引き確実に寝たきり方向になっている父の介護と仕方が無いですね〜〜。
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さて、その5.今回はそんな歯科界に誰がした!篇

まず、構造的な問題があるのは誰もが認める事実です。歯科大学に入り6年間勉強をし、国家試験に合格する。その先、つまりは歯科医業を生業とすると、医師のように病院勤務という業態がほとんどないため最終的には個人開業せざる得ません。さらに、個人開業時には設備投資や家賃の他に、自分自身の6年間の学費のウン千万円も返済していかねばならないという状況。

そこで、理念はおろか経営について全くの素人の若い歯科医師を食い物にする業者が居る訳です。
今の世の中、何処に行ったってコンビニより多いと言われている歯医者です。適当な広さの物件さえあれば、開業パックなる器材一式や内装を請け負う歯科医療材料卸し会社がマーケティングもへったくれも無くテナント物件を勧めるのです。
正直歯科材料卸し会社はそこで貸し付けなければ右肩下がりの既存の歯科医院相手の材料や器材の販売だけでは利潤が上がらないのです。さらに、歯科材料もインターネット上での価格破壊がおきており益々営業が厳しくなっているのです。なので、利益幅の狭い毎日の営業周りより確実に初期投資としての器材購入が見込める開業を勧める訳です。勧めた場所でその後その歯医者がどうなろうと知った事ではないという事でしょう。
歯科業界というマイナーな領域での生き残りのために歯科医師自体が食い物にされ、その影響を国民が被る。目先の利益の確保の為、廻り回って自分で自分の首をしめるような泥縄式の悪循環が途切れず続く構造的な問題が見透かされます。それでも、世間の人は言うでしょう。「続いてるんだからいいよね!」でも続かないオフィスも沢山生まれつつあると言う事は以外と知られていないかもしれませんね。

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では、業者が悪いのでしょうか?確かに、このご時世に焦る歯科医師の性根を見透し「儲け話」を持ちかけてくる悪徳コンサルタント系の業者が沢山居るのも事実ですが、大方の業者は自由競争経済の中自分自身の為に懸命に仕事をしているに過ぎません。そのバックには赤子でも分る明らかな事実があります。

限られたマーケットとその分配率です。

歯科医療という限られたマーケットに対して、歯科医師は毎年3000名ずつ増えて行く訳ですから当然供給過剰になる訳です。無節操にしか大学を増やした付けが回ってきています。文科省と厚労省、そして歯科医師会の無策がこの事態を生んだ元凶ではないでしょうか。
では、過当競争の厳しい他業種はこの様に競争相手が増えた場合どうして居るのでしょうか?まずは低価格化を行なうわけです。
でも、歯科界はどうでしょうか。「自由診療はともかくとして歯科は健康保険があるから価格競争も無いし、安定収入があっていいよね。」という声が聞こえてきそうですね。
どんでもありません実は健康保険も低価格化しているのです。まず、保険点数つまり治療費用が25年間も据え置かれている事自体が低価格化に他なりません。さらに、限られた財源の中で新しい技術などに点数が配分されるにつけ、従来の治療項目が知らず知らずのうちに包括と言う名の下に消し去られているのです。さらには粗悪な保険歯科医療に国民は愛想を尽かして歯科医院から足が遠のくという影響も無視出来ません。

ご存知でしたでしょうか?果たして、そんな事が国民皆の健康を守るシステムとしてあっていいのでしょうか。低価格化は必ずや歯科医療の質の低下を招いているのです。
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競争が激しい業種が目指す事の第二は、新たなマーケットの創造です。
歯科界に新たなマーケットがあるでしょうか。否、旧態依然とした歯科医療から脱却出来ない事がマーケットを固定化し新たな創造を阻んでいる訳です。歯科/口腔と言う正に人間の健康の要である器官にもっと様々なアプローチがあっていもいいのではないでしょうか?現時点ではそのようなアプローチは私たちの様な在野の臨床医達が切り開いている訳ですが、本来そのような事は大学がすべきなのです。旧態依然としたシステムにすがり、萎びた脳みそしか持たない大学の人間は一体何をしているのでしょうか。

研究機関であり同時に教育機関でもある大学にはもう一つの大きな罪があります。
学問として新たな地平線を提示出来ない歯科大学。そして、それを教育へフィードバック出来ない歯科大学。 まあ、それは創造性の問題なので百歩譲って仕方が無いとしましょう。けれど、現状の歯科医学を教育を受けていながら何故多くに歯科医師には「歯科医療哲学」なるものが欠如しているのでしょうか。科学者全てが、科学を形而上学的に掘り下げて考えその哲学にのっとて科学を考究しているは思っていません。が、ことは医療の一分野の歯学で「歯科学とは何か。歯科臨床とは何か。歯科医療とは何か。」を問、教える機会が無いのは明らかな手落ちと言っていいでしょう。
もし、それがあれば、例えどんな目先の人参がぶら下がっていようとそんなに多くの歯科医師が競って開業し歯医者通りをつくるほど林立する様な状態になる訳が無いのです。
今の様な国民皆保険の名の下の歪んだ歯科医療に消耗するような状況になる訳が無いのです。

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勿論、若手歯科医師と言え立派な社会人であり、なにも大の大人にそこまで懇切丁寧な指導や教育は必要ないとの意見もありましょう。が、しかし現実にはその哲学がないまま迷える子羊の様な根本的に発想が間違ってしまっている多くの歯科医師が、保険の名の下に削ることに邁進している現状、なんら根本的なベースが無いままに己が良心だけでひたすら不採算な歯科医療を展開し疲弊して行く歯科医師の仲間を見るにつけ教育の欠陥を考えざる得ません。

様々な角度から教育界も歯科業界も、そして我々歯科医師自身。文科省、厚労省と「歯科」を考え直さねばならないと思います。そして、そのキーワードはあえて「国民」ではないと言いたいのです。

歯科界、歯科臨床、そして歯科医療は これからどうして行けばいいのでしょうか?何処へ行くのでしょうか。愚痴ばかり言っていても始まりません。次回はこれからの将来を語りたいと思います。